巻頭言
初夏の安曇野に「研成義塾」を訪ねた。この私塾は、明治3(1870)年旧東穂高村に生まれた井口喜源治が設立した。彼は穂高小学校で教師をしていたが、同28(1895)年に不当な排斥運動により公職を追われ、同31(1898)年、「研成義塾」を設立した。
設立趣意書には「吾塾は感化を永遠に期す」とある。教師は井口一人。小学校を出たばかりの生徒たちに、中学校レベルの英語、数学、漢文、キリスト教聖書を教えた。昭和7(1932)年に脳溢血で倒れるまで、34年間、800余人の教え子を世に送り出した。塾生には彫刻家 荻原守衛(碌山)や外交評論家 清沢洌がいる。
清沢洌は、太平洋戦争下に書き、戦後公刊された「暗黒日記」で知られる。また、彼は独学の士としても有名だ。研成義塾で学んだ後、明治40(1907)年、17歳の時、研学移民となり渡米した。病院の清掃夫、デパートの雑役などを務めながらタコマ・ハイスクール、ワシントン大学などで学んだ。
教育未来創造会議で4月第二次提言が取りまとめられた。今後おそらく中央教育審議会など幾つかの会議体から、色々な提言が出されるものと思われる。
教育は国家百年の大計であり、21世紀の日本の礎だ。 しかし、教育は工業製品とは異なる。この教科書を用いて、あのカリキュラムを使用して教えれば、このような人間が出来上がるというものではない。自ら学ぶ態度を身に着けることが重要だ。「独学の精神」の涵養である。
(如己一)
目次
- 6 CatchUp1 エデュケーショナル・デザイン株式会社「デジタネ」で、すべての子どもたちにプログラミング教育を!
- 15 Special Report ① ショウインが掲げる自立学習と歴史保存の活動とその想い
- 18 HOT TOPICS ① サインウェーブがESATーJ対策セミナーを開催。 その実態に迫る
- 20 HOT TOPICS ②【特別連載】教育業界の2025年問題を考える〈中編〉
- 24 挑む私学 神田女学園中学校高等学校
- 27 目次・巻頭言
- 28 NEWS ARCHIVES
- 56 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
- 57 【特集】【緊急対談】
- 〝こどもまんなか社会〟実現への道筋 教育と福祉が交わる新たな取り組みに迫る
- 内閣府特命担当大臣 小倉 將信 氏 × 公益社団法人 全国学習塾協会 会長 安藤 大作 氏
- 68 Special Report ② 私塾界リーダーズフォーラム 2023S/S
- 80 Special Report ③ 第16回 全国模擬授業大会 チョーク一本で教育改革を!
- 86 TOP LEADER Interview ゲーミフィケーションの視点から、 会社経営や教育にイノベーションを。 KECグループ
- 99 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(353)
- 100 疾風の如く(168) 学習塾SMILE─S(愛知県) 塾長 原 大輔 さん
- 102 For Whom the 塾 Tolls(25)
- 104 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(122)
- 106 白書界隈徘徊話(100)
- 108 自ら動き出すチームにする方法(106) 中谷彰宏
- 110 塾の家計簿(74)
- 112 シン・ジュクジン(20)
- 113 芸術見聞録(120)
- 114 わが子、就学中(28)
- 115 塾長の机
- 116 為田裕行の「教育ICT行」(100)
- 117 10¹⁵ PETA(26)
- 118 現代学習塾経営概論(4)
- 119 Opinion from School(49)
- 120 林明夫の「歩きながら考える」(215)
- 122 新・授業改革を目指して(133) 石川幸夫
- 124 私塾界インサイト(64)
- 128 塾はどこから来たか、塾は何ものか、塾はどこへ行くのか―そして私(20)
- 130 咲かせよ桜(101) 小林哲夫
- 134 論点2023(7) ファイナンス教育とは
- 138 編集後記
- 140 Book Review
- 142 塾長のためのガジェット講座