米科学アカデミー紀要(PNAS)に9月19日、地球上のアリの数は少なくとも2京(京は1兆の1万倍)匹と推定する研究論文が掲載された。データが少ない地域があり、実際の生息数はさらに多い可能性がある。
アリは植物の種子を運んだり、他の生物の宿主になったり、 捕食したりされたりと、アリは生態系の中で重要な役割を果たしている。生息数を知ることは、生息地における気候変動などによる影響を把握するために意義がある。
今回の研究では、さまざまな場所でアリの個体数を調査した465本の論文を分析した。ただし、調査はこれまで全大陸で実施されてきたが、中央アフリカやアジアではデータが極めて少ないか、皆無だった。これまでにも生息数を推計する試みはあったが、いずれの研究でもはるかに少ない試算結果しか示されてこなかった。
研究チームは「(データの)空白部分を埋めることが極めて重要」と指摘している。そして「実際のアリの個体数は(推定を)大幅に上回っている可能性がある」とした。
地球上で確認されているアリの種と亜種は1万5700種を超えるが、まだ見つかっていない種も同程度に上るとみられている。
今回示された推定に基づくと、地球上のアリの総重量(生物量)は炭素ベースで1200万トンとなる。野生の鳥類と哺乳類を合わせた量より多く、人間の総重量の20%に相当する。