幾多の学校改革を推し進めてきた平井正朗氏が、2021年度から校長として赴任している神戸山手女子中学校高等学校(兵庫県)は2023年度より、「グローバル選抜探究コース(Gコース)」を新設する。
近年、学校改革を行っている学校では、グローバル教育を掲げた先鋭的な新コースを創設し、いわゆる上位層の受け皿として位置づけが多い。しかし、同校の「グローバル選抜探究コース」は、上位層だけではなく、地域性を重んじながら、より幅広い層に門戸を開いた独自のコースとして創設された。
「学力到達度の高い生徒たちだけではなく、いわゆるボリュームゾーンの生徒たちにもこれからのグローバル化、DX化に対応できる力を身につけてもらいたいと考え、新設しました」と、平井校長はその狙いについて語った。
また、同校が位置する神戸は、国際都市であり、来日した外国人の子供たちや帰国子女が数多く暮らす。様々な事例を調査・研究した上で、進路指導は国内の大学のみならず、海外の大学も視野に入れ、College BoardのAPプログラム(Advanced Placement)の導入なども検討しているという。
「グローバル選抜探究コース」の特色は大きくわけて2つある。一つは英語教育だが、他校と違うのは英語に触れる“時間”だ。中1から高3まで全てのクラスで、1週間の授業+課外活動で10時間以上を確保し、授業は基本、英語で英語を学ぶ。さらに、週10時間以上の英語授業とは別に、英語と音楽、美術、家庭科、理数系教科等と組み合わせたイマ-ジョン教育を導入する。
そしてもう一つの特色が、グローバル教育。例えば、これまで同校で実施されてきた探究の時間は、『グローバル探究』としてリニューアルする。
「様々な課題解決と社会貢献のための文理共創の地平を、科学的な側面から押し上げていくのと同時に、知識集約型の学習を見据え、将来、日本を含む世界の発展に貢献するための取り組みを産官学協同で行なっていきます」と、平井校長は語る。夏期・冬期休暇中には、グローバル・イングリッシュ・キャンプ(校内外での実施含む)、集中講座としては、関西国際大学との連携やオンラインによる留学も進める予定だ。
平井校長は「グローバル選抜探究コース」が目指す姿について次のように述べる。
「コミュニケーションツールである英語は、最低10時間以上学ぶ。一方で、地球市民という発想で、ダイバーシティを受け入れ、日本文化を発信できる背景知識を身につけ、海外の人と対等に特定のテーマについて議論・協働できる力をつけるグローバル教育を推し進める。この力を両方身につけていくことは、大学入試改革のコンセプトの一部と同じであり、相乗効果が期待できると考えています」
2024年に100周年を迎える神戸山手女子中学校高等学校。改革1年目にして、早くも大学進学実績が昨年度よりも大幅に向上するなど成果が生まれている。今後も『グローバル選抜探究コース』の新設にとどまらず、改革を推進していく。