経済産業省は6月4日、半導体などのデジタル産業の基盤強化に国家事業として取り組み、次世代の製造技術の国産化などを進める新戦略を発表した。半導体は世界各国が巨額の資金を投じて開発競争を繰り広げ、国際的な産業競争力の強化に欠かせない。米中対立の激化を背景に、経済安全保障上の重要さが増している。
新戦略では、半導体などのデジタル産業の基盤強化を、エネルギーや食料の確保と同様、国家戦略として必要なものと定め、民間への事業支援の枠を越えた特例扱いの措置を講じる制度の構築を検討するとした。
具体的には日本にある既存工場に新たな投資、再編や統合も含めた大胆な刷新を進め、需要に対応できるようにする。半導体の需要先として有望視されるデータセンターは、日本が「アジアの中核拠点」となることを目指す。東京や大阪に集中するデータセンターの分散を図るために年内に立地計画を策定。必要に応じ、インフラ整備などの基盤整備を政府が支援する。海外の大手半導体メーカーと合弁工場を設立することなどを通じて、国内の製造基盤を確保し、次世代の製造技術の国産化も進めるとしている。
日本の半導体産業は、30年ほど前は世界のシェアの半分以上を占めていたが、現在では10%程度に大きく落ち込んでいるほか、スマートフォンなどに使う最先端の半導体の製造は海外に依存している。