品川区は、区立全43の保育園でICT保育教材「KitS(きっつ)」を正式導入、10月から運用を開始している。本教材は全国の幼稚園、保育園、こども園等、民間の園では導入されているが、公立園での採用は全国初だ。
11月2日には、品川区中小企業センターにて、品川区こども未来部保育課長の立木征泰氏、品川区地域振興部商業・ものづくり課長の遠藤孝一氏、株式会社スマートエデュケーション代表取締役の池谷大吾氏による意見交換会が催された。
今回のKits導入は、品川区内の中小企業に向けた助成金をスマートエデュケーションが申請したところから始まっている。その窓口になった地域振興部商業・ものづくり課が『KitS』のおもしろさをこども未来部保育課へ紹介し、今回の導入に至った。
遠藤氏は、「他の事業でもうまく区役所を使ってもらいたいし、様々な助成金も用意しているので、ぜひ利用してもらいたい」と品川区の中小企業への取り組みについて語り、立木氏は、「良い教育コンテンツに気づかない場合が多い。ぜひ、売り込みをしてもらえるとありがたい」と語る。
自治体と交渉するときに、他自治体での実績を聞かれることがほとんどで、なかなか先に進めない中、品川区は検証から導入まで早かった。このことについて池谷氏は、「KitSというコンテンツそのものが良いと判断されたことは嬉しかったが、区の導入までの部署横断によるきめ細やかな対応には驚いた」と言う。
提供するKitSのコンテンツの一つ『アートポン!』の実演も披露された。
『アートポン!』は、子供たちが描いた絵を写真撮り、タブレットに取り込むことで、タブレット上の海の中を泳ぐしかけになっている。しかし、ただ絵を描くだけではない。導入部に登場する蛸の『タコポン』というキャラクターを使った子供たちの興味、関心を引くストーリーを作っている。
タコポンは、お絵かきが大好きで、海の絵を子供たちに描いてくれる。だが、続けて海の生き物を描こうとしたら筆が折れてしまい泣いてしまった。そこで、子供たちに「タコポンを助けて」と呼びかけ、子供たちが能動的に絵を描く仕掛けを用意している。
絵を描いたあとは、子供たち自身が自分の作品についてみんなの前でプレゼンテーションし、他の子供たちと質疑応答をする時間を設けるなど、子供たちも先生もワクワクできる保育が展開される。
KitSの導入を考えている自治体は増えているそうだ。その上で、池谷氏は「重要なのは進化。来年も新たなものを出していきます」と語り、更なるコンテンツの強化を約束した。