10月4日、NEAが社会で活躍する中学・高校生に『求められるもの』は何か?をテーマにウェビナーを開催。教育関係者に加えて、中学・高校生、その保護者など641名が参加した。
「これからの高校生に求める能力とコロナ後の大学の学び」をテーマに講演を行なった法政大学総長田中優子氏は、今、世界で必要とされている能力について、大学が考えるものと企業や社会が考えるものに、それほど大きな違いはないと言う。
「一つはっきりと共通しているのは、クリエイティブであること。つまり自分でものを考えながら新しい領域を創造していく能力ということです」
田中氏は、新型コロナ禍以降の大学の授業のあり方にも言及した。達成度という考え方を組み入れることによって、対面授業、オンライン授業、オンデマンド授業を組み合わせることが可能に。そのための評価軸として、ルーブリックを用いて達成度を測る。
達成目標は学生が自分で作る。与えられるテーマの中で自分の役割を決めて、その達成目標とスケジュールを提出して、チームを組みながら達成していく。あるいは学期末までに達成する事柄を自分で決めて、スケジュールを提出し、教師と相談しながら方向性を決め、進捗報告をしながら達成することで、単位を取得していく新たな授業の形など、田中氏はコロナ後の展望を語った。
また、広尾学園小石川中学校・高等学校校長の松尾廣茂氏は、「新時代に生き抜く力」をテーマに講演した。松尾氏は、新時代に活躍する人材は、「問題解決力」「コミュニケーション力」の高い人だと言う。
この力を身につけるために重要になってくるのが自己肯定感。日本の子供は世界各国と比較して低い。その中で松尾氏は、高い自己肯定感を養成するために重要なものの一つに家庭教育を挙げる。
自己肯定感の低い子に何かを教えてもなかなか身につかない。身につかないどころか、やる気が出ずにまた叱られて、駄目だと思い込んでしまう。そのような子供たちは果敢にチャレンジできない。
子供は親に愛されたい、親も子供を愛したい気持ちを強く持っている。その関係を良好にするためには、子供側からも親の愛情を求める行動が取れることが必要になる。
「つまり、子供が甘えることで初めて、親の愛情を子供に伝えることができます」と松尾氏は言う。しかし、子育てにおいて、甘えは良くないと思われがちだ。松尾氏は続ける。
「甘えには良い甘えと悪い甘えがあります。それを区別する必要がある」
受け入れて良い甘えとは子供の情緒的欲求、承認欲求に応えること。逆に悪い甘えとは、携帯電話やゲームなどを言われるがままに何でも買い揃えてしまうような物質的欲求に応えることなどだ。
「何かにチャレンジしたときに失敗しても、安心して心を休められる場所に親がなることが重要です」と、松尾氏は保護者に語りかけた。