WHO表明「新型コロナウイルスはパンデミック」

 3月11日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、「新型コロナウイルスはパンデミックと言える」と述べて世界的な大流行になっているとの認識を示したうえで、各国に対して対策の強化を訴えた。感染症の流行にはアウトブレイク(集団感染)→エピデミック(流行)→パンデミック(世界的な大流行)とレベルがあり今回表明したパンデミックは2009年のH1N1型インフルエンザ以来となる。WHOが過去にコロナウイルスの流行を「パンデミック」だと表現したことはなく、コロナウイルスがパンデミック宣言されるのは初めてとなる。WHOとしては、世界各地で急速に感染が拡大するなか「パンデミック」という表現を使うことで各国に対して強い危機感を持って対策を強化するよう促すねらいがあるものと考えられる。
 過去の「パンデミック」との違いは、2009年、新型インフルエンザについてWHOが当時使っていた6段階の警戒レベルで「パンデミック」を宣言したあと、各国は季節性のインフルエンザ用のワクチンの製造をパンデミックワクチンの製造に切り替え、封じ込めにあたった。実際には新型インフルエンザは感染しても軽症で済む人も多く医療機関に大勢の人たちが押し寄せるなど社会的な混乱もあった。こうしたことを教訓に、WHOは当時使っていた6段階の警戒レベルの基準を廃止し、2013年に新型インフルエンザを4段階で警戒する新たな基準を発表したが、あくまでインフルエンザを警戒する基準のため、今回の新型コロナウイルスではこの基準は使っていない。

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