巻頭言
大学入試改革の一つであった大学入学共通テストでの英語民間試験の活用見送りに関し、大きな違和感を持っていた。所謂「身の丈発言」に対し、平等性などの反論の大合唱が沸き上がり、非常に情緒的な結論がもたらされた。試験会場へのアクセスが平等でない、試験料がかかるため富裕層に有利だ、という。しかし、従来のセンター試験でも試験場は700カ所ほどであり、全ての人から同じ距離にあるわけではない。試験料も1万8000円(3教科以上受験の場合)と決して安くはない。
大学入試改革の当初は、一回の試験で、一点刻みで合格者を決めることに問題があると、多くの方が発言していた。だから大学は、ディプロマ・ポリシー(学位授与方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施方針)、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に沿い、少し緩めに入り口を開き、入学後にきちんと勉学した学生だけが卒業できるようにしようというのが、本来の趣旨だったはずだ。このことを振り返ろうともしなかった。
日本の失われた30年は総論に賛成だが、各論反対で改革の流れを止めてしまうことが繰り返された。英語民間試験の活用見送りも、これを象徴するできごとだ。 平等や公平は大事なことがらだ。常に配慮しなければならない。しかし、完全な平等性や公平性を実現することは非常に難しい。殆ど不可能といっても過言ではない。絶対善への反論は実に難しい。だからこそエビデンスを示し、議論しなければならない。
(如己 一)
目次
- 8 CatchUp① 東進こども英語塾
- 12 CatchUp② 若松塾+東進衛星予備校
- 14 CatchUp③ 株式会社KECMiriz
- 16 CatchUp④ 株式会社SmartStudy
- 24 挑む私学 京都明徳高等学校 商業科×普通科=京都明徳高等学校
- 27 目次・巻頭言
- 28 NEWS ARCHIVES
- 48 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
- 49 【特集①】今日から使える塾経営アイデア
- 56 【特集②】株式公開企業塾2020年2・3月期 第3四半期決算を読む
- 68 【特別企画】やる気スイッチグループ Owner’s Story①
- 76 教育サービス業界 企業研究(87) 株式会社イー・トラックス1
- 79 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(314)
- 80 疾風の如く(128)Gloridge Kids School(大阪府)代表取締役社長 橋本 誠人 さん
- 82 好機到来(59) C.スクール(東京・江戸川区)塾長 風間 亮さん、副塾長 関屋 雄真さん
- 84 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(82)
- 86 白書界隈徘徊話(60) 西村克之
- 88 自ら動き出すチームにする方法(66) 中谷彰宏
- 90 塾の家計簿(34)
- 92 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(80)
- 93 芸術見聞録(80)
- 94 ぼくの幼児教育考(21)
- 95 塾長の机
- 96 為田裕行の「教育ICT行」(60)
- 97 1981(12)
- 98 Opinion from School(9)
- 100 林明夫の「歩きながら考える」(175)
- 102 新・授業改革を目指して(114) 石川幸夫
- 104 私塾界インサイト(23)
- 108 咲かせよ桜(60) 小林哲夫
- 112 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(81)
- 114 論点2020(3) ⼦供の貧困対策に関する⼤綱
- 118 編集後記
- 120 Book Review
- 122 塾長のためのガジェット講座