京華中学校・京華女子中学校・駒込中学校・東洋大学京北中学校の4校合同企画「中学新入試体験会」が8月31日、駒込中学校で開催された。
参加者は、適性検査型入試に加え、駒込中学校が実施する「STEM入試」、「自己表現入試」、東洋大学京北中学校が実施する「『哲学教育』思考・表現力入試」といった独自色の強い試験を体験した。
例えば、「自己表現入試体験」では、現実にある企業の社員として、業績を伸ばすために何ができるかを考え、インターネットなどを使いリサーチし、まとめたものを発表した。
「『哲学教育』思考・表現力入試体験」では、「おとな」と「こども」をテーマに、「大人と子供の違いは?」「大人と子供は20歳で分かれるのか?」などを問い、それぞれ意見を出し合う。子供たちは、最初こそ戸惑いが感じられたものの、時間が経つにつれて、集中する姿があった。
首都圏模試センターの北一成氏による講演、4校の校長による説明会も開催された。
北氏は、公立中高一貫校の受験増加もあり、中学受験に注目が集まっているが、中でも思考力入試、英語入試、適性検査型入試など多様化が進んでいると言う。その背景には、大学入試の変化が大きいと思われる。国公立大学の推薦入試を重視する動き、創造性、芸術性等が問われるなど変化が生まれており、これは中学入試にも反映されている。「公立中高一貫校、私立中高一貫校のどちらに行くにしても、必ずプラスになってくる」と北氏は続ける。
4校長は、自校の特徴や強みを紹介した。
「これからは、自分のやりたいことを見つけ、それをするために大学に行くという学びのスタイルが必要です。そうでなければ、今ある職業の大半がAI(人工知能)に取って変わる時代の中で成功はできません。時代の変化に対応できる力を身につけるカリキュラムが本校にはあります」(町田英幸・京華中学校校長)
「共感力、グローバル力、学力が本校の教育の3本柱になっています。学力を伸ばすのは私学として当然ですが、相手の立場、気持ちを汲み取りながら発言する心に寄り添う共感力、グローバル力は、女子校ならではの箏曲、茶道、華道、日本舞踊などの日本の伝統文化を取り入れた体験型授業やあるテーマについて議論する探求型授業で身につけていきます」(塩谷耕・京華女子中学校校長)
「人のために尽くす、世の中のために尽くす。そのことをやり続ければ不可能だと思われることも可能にすることができ、より良く生きることに結びつくというのが本校の心がけです」(石坂康倫・東洋大学京北中学校校長)
「全ての子供たちが平等に、未来のスキルが身につくような学校教育を作り上げていかなければならない。そのための課題意識をどれだけ持っているのかが今、問われています。人類がAIに絶対に手渡してはいけない、また同時にAIが絶対に持てないものが、クリエイティビティ、マネジメントスキル、ホスピタリティの3つです。これらの武器を必ず子供たちに与えないといけません」(河合孝允・駒込中学校校長)
中学入試は多様化が進んでいるが、その中でもこの4校の新たな入試と取り組みはひときわ存在感を増している。