巻頭言
多くの学習塾が保育や学童保育に参入している。本誌13年10月、11月号「教育時評」や14年9月号「論点」などが始めるきっかけであれば、「私塾界」冥利に尽きる。
ところで、一つ気がかりなことがある。
学習塾は一民間企業だ。利益を上げることができなければ、撤退することもあろう。多教室展開する学習塾ではスクラップ&ビルドは日常だ。しかし、保育や学童保育をそれと同列で考えて良いものだろうか。これを問題提起したい。
極端な例えだが、来月から事業をやめたら、そこに通わせる家庭はどのようになるだろうか。通わせる家庭は共働きや片親のケースが殆どだ。来月からの生活が成り立たなくなってしまう。保育や学童保育は社会的インフラに組み込まれているのだ。「公共性」を備えた事業である。これを意識して事業に当たって欲しい。
「学習塾白書2018」を見ると、公立中学校に通う中学3年生の通塾率は80%を超える。何らかの事情があって通わない、通えない生徒を除くと、殆ど全員が通っているとみなすことができる。そういった点では、学習塾も「公共性」があると言い得る。
しかし、今一度思いを巡らせていただきたい。明日から学習塾が突然閉鎖されても(あってはならないことだが)、生徒は隣の学習塾へ通えばよいだけだ。学習塾に行かなくても構わない。だが、保育や学童保育はそうではない。 我々は学習塾を含め、「公共性」なるものを真剣に考えなければならない。
(如己 一)
目次
12 挑む私学 新渡戸文化中学校
偏差値ではなく、幸福値を意識した改革を
14 スペシャル鼎談
子供の幸せを育むための大改革
19 目次・巻頭言
20 NEWS ARCHIVES
42 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
43 【特集】教育ICT考 2019S/S
58 TOP LEADER Interview
株式会社創英コーポレーション
強豪ひしめく神奈川県において異色の存在感を示す
70 挑む私学 高槻中学校・高槻高等学校
国内外の大学と連携し、グローバル教育を推進する学校
72 教育サービス業界 企業研究(78) 特定非営利活動法人ロジカ・アカデミー
75 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(304)
76 疾風の如く(118)
岡崎塾(兵庫県)
塾長 岡崎 正忠さん
78 好機到来(49)
株式会社NES
代表取締役 南里 洋一郎さん
80 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(72)
82 白書界隈徘徊話(50) 西村克之
84 自ら動き出すチームにする方法(56) 中谷彰宏
86 塾の家計簿(24)
88 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(70)
89 芸術見聞録(70)
90 ぼくの幼児教育考(11)
91 塾長の机
92 為田裕行の「教育ICT行」(50)
93 1981(2)
94 英語教育 どう変わらなければならないか(11) 田中 茂範
96 林明夫の「歩きながら考える」(165)
98 新・授業改革を目指して(109) 石川幸夫
100 私塾界インサイト(15)
108 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(70)
110 論点2019(5) 2040年に向けた高等教育のグランドデザイン
114 編集後記
116 Book Review
118 塾長のためのガジェット講座