チラシで集客力を上げるための「広告塾」

総合広告代理店である株式会社ライズエージェンシー(東京・港区)は9月、都内で学習塾・スクール経営者を対象に「広告塾」を開催した。講師を務めたのは同社のエグゼクティブクリエイティブディレクター 横江史義氏。

電通出身で、数多くのナショナルクライアントの広告制作に携わり、現在は大学の教壇にも立つ横江氏は、塾やスポーツジムのように半径数キロの商圏を対象とした広告のプランニングおよびクリエーティブは、マス広告を中心とするそれとは大きく異なると指摘。当社はそれを「ローカルエリアマーケティング」と名付け、独自の広告メソッドを確立している。

ローカルエリアマーケティングでは、「SNS」が重要であると訴える横江氏。SNSとは、S=「しぼる」、N=「なりきる」、S=「さす」。マス広告のようにできるだけ多くの人に向けて情報を発信するのでなく、むしろターゲットを徹底的に「しぼる」ことが肝心だ。そのうえでしぼったターゲットの気持ちに「なりきり」、どうすればそのターゲットの気持ちを動かすことができるのかを考えなくてはならない。

広告塾の様子

全国に100店舗ほど構えているある大手スポーツジムは、全国一律でチラシを打っていた。毎回“金額推し”をしていたが、ほとんど効果はなかったという。「何とか現状を打破したい」と依頼を受けたライズエージェンシーは、ショッピングセンター内に出店しているある店舗の市場環境を詳細に分析。すると、近くには安価で運動できる市営体育館があり、いくら低価格を訴えてもターゲットの気持ちを動かすことはできないことがわかった。

そこで女性客にターゲットを「しぼり」、「なりきる」をした。結果、ショッピングセンターで買い物をした足で運動できることを訴求するよう方針を転換。すると見事にそれがあたり、店舗の売上げは大幅に伸びていったという。このように、表現によって勝敗が大きく分かれるところが、ローカルエリアマーケティングの難しさだ。

また横江氏は「チラシに限界を感じている塾も多いかもしれませんが、ウェブ広告にシフトした結果、顧客獲得単価が上がってしまったというケースもめずらしくありません。チラシを主軸に置きながら、ウェブサイトでうまく補完するのがお勧めです」とアドバイス。参加者たちは、メモを取ったりうなずくなど、真剣な眼差しで聞き入った。

今後も、同様の広告塾を10月12日と同24日に都内で開催する。詳しくは同社ウェブサイトへ。

みんなが私塾界!