高大接続改革への貢献が期待されるTOEFLⓇiBT

5月23日、TOEFLⓇテストなどの制作・実施・採点をおこなっている米国の非営利教育団体Educational Testing Service(以下、ETS)が、「変わる日本の英語教育において世界基準のTOEFLⓇテストが果たす役割」と題し、記者懇談会をおこなった。
 まずはTOEFLⓇテストプログラム エグゼクティブ・ディレクターのジェニファー・ブラウン氏がスピーチ。TOEFLⓇiBTは最先端セキュリティの採用、採点者へのトレーニング、一流の専門家との連携など、「安全性」「公平性」「正当性」を保つために多額の投資をおこなっていると説明した。
 その結果、TOEFLⓇiBTは世界で多大な信頼を獲得し、スペインやサウジアラビアでは英語教師の、オーストラリアでは医療従事者のアセスメントとして利用されるなど、今や130カ国、約1万の機関や団体が導入。日本では高大接続改革に資する試験として認定され、同改革への貢献が期待されている。
 次に国際教育交換協議会(CIEE) 日本代表部代表代行 根本斉氏が発表。同団体は1965年に設立され、ETSから委託を受けて1981年より日本国内でTOEFLⓇテストの運用をおこなっていると伝えた。
 早稲田大学 教育・総合科学学術院 教授の澤木泰代氏は、ETSは「採点方法が一貫しているか」「学習理論と噛み合っているか」「大学や教員、受験者はテスト結果をどのように利用しているか」など、多角的にかつ綿密に研究していることを紹介。テストを受けることで、英語を勉強する上で必要なスキルを確認できると述べた。
 続いて3名によるパネルディスカッションがおこなわれた。「TOEFLⓇテストは日本の学生にとって難易度が高いのでは?」という司会者の問いに対し、根本氏は「よく言われることだが、TOEFLⓇテストは高等教育機関で学ぶ力がどれだけあるかを測るのが目的であり、日本の学習指導要領に必ずしも即したものではない。ただ、新学習指導要領では高い英語力が要求されており、『内容を整理して話す』という意味においても合致してきている」と回答した。
 その後、質疑応答がおこなわれ、「TOEFLⓇiBTを実施する会場は30都道府県しかないが、今後の計画は?」との質問に対し、ブラウン氏は「会場は今後CIEEや大学入試センターと協力して追加していくつもりであり、テスト回数も増やす計画」とコメント。澤木氏は「どの地域でどのくらいの受験ニーズがあるのかを調査し、関係者と協力していきたい」と説明した。

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