株式会社コスモ(東京都渋谷区、望月てる代表)が、「第4回 教育業界研究セミナー」を昨年12月16日に都内で開催した。今回のテーマは英語教育の将来(英語授業の小学校導入にあたって)。英語の教員や英語教育に関心のある保護者などが参加した。
学習指導要領の改訂で、2020年度より3・4年生に「外国語活動」が設けられ、5・6年生から「外国語」が教科化される。外国語教科では外国語活動にあった「聞くこと」「話すこと」に加えて、「読むこと」「書くこと」の言語活動が加わる。
そのような背景の中、低学年の英語指導の課題として「学力差が大きい」「学校がカリキュラム、ノウハウを持っていないケースが多い」「先生にお任せな状態」が挙げられた。
「小学校の英語教育は統一性がなく、ほとんどが先生独自のカリキュラムや教材を使ったものであり、マンパワーに頼っているのが現状」と講師として登壇した同社第二開発室チーフの神村夏哉氏は話した。
また、公立校と私立校でも教育内容に差が生まれている。私立校では、学年行事で海外研修、帰国子女児童への会話機会の提供(ランチタイムなどの)、国内、校内イングリッシュキャンプなど、私立校だからこそできる教育をしてほしいという〝保護者のニーズ〟が色濃く反映され、公立校との熱量の違いが浮き彫りになっている。
その上で、求められる授業の進め方を神村氏はレクチャーした。ルール説明が簡単で、動きのあるアイスブレイク、ゲームを用意する。その際には、言葉を使わなくても伝えることができる「言葉に頼りすぎない語学指導」の重要性が説かれた。また、「生徒の苦手=教師の苦手」という指摘もあった。
セミナーの合間には、グループワークも行われた。「語順に気づかせるにはどんなことをすればいい?」「これまでの英語教育でよかったと思うこと」「これから取り組まないといけないことは?」の3つのテーマでグループごとにディスカッションし、意見が発表された。中でも、「授業はつまらなかったが、文法の学習は必要だ」という意見が挙がるなど、これまでの英語教育の全てを否定するのではない前向きな取り組みが語られていた。
また、入試改革によって導入される大学入学共通テストでは、民間資格検定試験が採用される。神村氏は、「TEAPが注目です」と話した。そして最後に、「学校のルールの中でいかに自己表現をするのかが重要になります。ぜひ、自分を活かした授業をしていただきたい」と神村氏は参加者にエールを贈った。
同テーマでの2回目のセミナーを平成30年2月2日に予定している。