経済的に苦しい家庭の子供を支援しているNPO法人キッズドアは昨年11月14日、「キッズドア教育支援シンポジウム 〜すべての子どもに英語の力を〜」と題したイベントを都内で開催した。
ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社 代表取締役の安渕聖司氏が、まずは基調講演を実施。安渕氏は、英語を話す人は20億人いて英語ができれば得られる情報量も100倍になるだけでなく、学習のチャンスも広がり、自分に合った大学を世界中から選べるようになることを主張。また「自動翻訳機ができたら英語力はいらないのでは?」と言われるが、訳した瞬間に文化は失われてしまうため、相手を理解するにはやはり話せることが必要だとした。さらに「英語を学ぶか」「英語で学ぶか」は大きく異なり、後者の場合は豊かな世界が得られると訴えた。
続いてキッズドア 理事長の渡辺由美子氏が、日本の子供の貧困と教育格差について言及。貧困は個人の努力で何とかなるのではと言われがちだが、実際は難しく、英語だけできない子も多いため無料学習会「イングリッシュドライブ」をスタートしたと述べた。
キッズドア イングリッシュドライブ プロジェクトマネージャーの本吉勇武氏はイングリッシュドライブの取り組みを紹介。週1回、2時間のプログラムで、英会話、スピーチ、ディスカッションなどレベルの高いことも実践しているほか、オフィスを見学する企業共催イベントなど、個別指導とアクティビティを実施していると伝えた。また金融業界に興味を持つ子供が現れるなど、将来のイメージが形成されるいい機会になっているとした。
イングリッシュドライブの受講生で現在アリゾナに1年間留学中の高校2年生からはビデオメッセージが寄せられ、イングリッシュドライブでは実践的な英語を学べたこと、将来は映画の配給会社で働きたいこと、イングリッシュドライブに出会えたことへの感謝が述べられた。
続いてはボランティアとして実際に指導に当たっている社会人が登壇。様々なバックグランドを持つ人、いろいろな仕事に就いている人が集まることでシナジー効果が生み出されているほか、多彩なアクティビティや支援企業とのコラボを通じて英語を楽しむ環境が創出されていることが紹介された。
支援企業として指導に携わっているメリルリンチ日本証券株式会社 ディレクターの浦岡暁子氏は、生徒と銀座の街に出て外国人に英語でインタビューをし、その内容を英語で発表したことを取り上げた。
最後に渡辺氏はいろいろな人に支えられているイングリッシュドライブはスタートしたばかりであり、今後拡大するためにも多くの支援を賜りたいと呼びかけた。