2017年11月14日、東京ドームホテル(東京都文京区)にて中学入試の研究セミナー「火曜倶楽部セミナー」が開催された。主に首都圏の私立中学・高等学校、学習塾や出版社などの関係者が集った。
今回は、岩崎隆義氏(四谷大塚情報本部本部長)、長谷川信誓氏(日能研関東関東中学情報部部長)、広野雅明氏(サピックス小学部教育情報センター本部長)、北一成氏(首都圏中学模試センター取締役・教務情報部長)が、後藤卓也氏(啓明舎塾長)のコーディネートのもと2018年中学入試の展望を語った。
大学附属校の人気は続いている。
「大学附属校人気の本質は、大学受験に縛られないカリキュラムを提供できることだと思う。特に高2、3の選択科目が明らかに違う。進学校であれば、センター試験対策などだが、大学附属校の選択科目は、アラビア語などの様々な外国語の履修や大学のゼミのようなものなどバラエティに富んでいる」(岩崎氏)
このように推薦権を持ったまま他大学受験ができる、大学入試改革を避けることができるなどの消極的な観点だけで選ばない層が増えている。
また、海外の学校への進学も学校選びの基準になりつつある。
「留学した場合は一旦退学になるのか、もとの学年に戻れるのか、そういった質問が非常に多い」(広野氏)
「英語」「新しい入試(適性検査型入試、得意科目選択入試など)」についても多くの言及があった。
「(小学校英語の教科化に関して)英語に向き合うべきなのか、それとも4教科に向き合うべきなのか。今の保護者は非常に熱心なので、子供に負担をかけないためにも事前に告知をしてもらいたい」(広野氏)
「新しい入試は、小学生の素質を多様な観点で見るというメッセージだと思う。それぞれの学校で入試の在り方を選んでいいのではないか。新しい入試市場はまだ小さいが、近いうちに1万人市場になる可能性は十分にある」(北氏)
そして、学校の魅力をPRする説明会へのアドバイスもあった。
「偏差値や進学実績などの物差しが崩れてきているのは確か。そういった意味で、まず先生が元気であること、もうひとつは前向きな取り組みをしている学校に入学希望者が集まってくるのではないか。学校に入学してからの6年後、あるいはその先成長ができるかを説明会の中で見せられるかは非常に大きい」(長谷川氏)
4社が提供する模試の受験者は、昨年比で微増と報告された。ここ数年横ばいか微減が続いていた中で、明るいトピックとなっている。大学入試改革を始めとして、中学入試に対する注目が高まっていることは確かなようだ。