株式会社パピルス書房主催「教育情報セミナー2017」が、6月16日にキャンパスプラザ京都(京都市下京区)で開催された。テーマは、「小学校英語とグローバル教育-新学習指導要領をふまえた中高英語教育との連携も鑑みて-」であり、講師は、中高大入試のみならず、英語教育にも定評ある龍谷大学平安中学高等学校校長補佐の平井正朗氏。
現在、小学5、6年生にある外国語活動を小学校3、4年生に前倒し、小学5、6年生は「英語」として教科化される。5、6年生では「読む、書く」を加え、3人称や活用頻度が高い過去形、動名詞等にも触れ、英語で話すことが盛り込まれている。語彙は600~700語程度。今回は、小・中・高校で一貫した「聞くこと」「読むこと」「話すこと(やりとり)」「話すこと(発表)」「書くこと」の5領域別に目標が設定されている点に注目したい。
平井氏によれば、「教室では、発達段階に合わせた実践が不可欠であり、オール・イングリッシュで遊び、歌い、楽しみながら英語を身につけられる空間づくり」が第一段階とのこと。その上で、「BICS(ビクス:Basic Interpersonal Communicative Skills)レベルの会話を取り入れ、聞いた内容を理解し、行動できる、簡単なスピーチができる、アクティビティーやイベントを通して外国の文化や習慣に馴染み、コミュニケーションする自信をつける」のが第二段階だという。
保護者の期待は高い反面、小学校現場には、英語の授業に対する「自信がない」という声がある。当然、小中連携、短時間学習の内容と指導法、教材、評価、教員養成といった課題もある。中高現場では国の目標であるCEFRレベルに到達しておらず、その背景には、学習習慣、授業時間や苦手意識やつまづきの原因となる単語や文法といった課題もある。
学習塾へのアドバイスを求められ、平井氏は次のように締めくくった。
「日本の学校は、入試を突破し、序列化された学校へ進学することが潮流であったため、そこに学習塾の立ち位置があったように思います。科学技術の発展に相俟って、グローバル化が進み、個々のポテンシャルを最大限に引き出し、複雑化する地球的レベルの問題に果敢にチャレンジできる人物像の育成が求められています。コミュニケーション・ツールとしての発信型英語教育は、社会全体をも巻き込んだ一大プロジェクトであり、教育に携わる者すべてが知恵を絞って模索する段階にあり、それが生徒一人ひとりの夢の実現に結びつくのではないでしょうか」