株式会社エデュケーショナルネットワークは、私立中の入試広報担当者や塾などを対象に、同社が集積した直近の関西圏中学入試データから市場傾向を総括する「2017年度 中学入試情報セミナー』を4月20日に開催。このセミナーには、学校関係者(78校、140人)と民間教育事業者(33社、65人)ら、200人以上が参加し、これまでに開催した同様のセミナーに比べても特に多く、教育関係者の注目の高さが伺われた。
関西圏の中学受験に詳しい同社の藤川享氏が、各校から集めたデータを元に、傾向を分析した。それによると、受験者が集中する中学入試初日の午前の受験率の経年推移を見ていくと、14年度は8・7%を底に、15年度は9・0%、16年度は9・2%、17年度は9・3%と上昇傾向にあるという。一方で、17年度入試における小6の児童数などから推計した受験者数は減少傾向にあるといい、この数値を改善しなければ関西の中学受験市場が活性化したとは言えないとも説く。
そして、17年度の中学入試の傾向としては、入試日程の変更にはじまり、共学化、新設コースやコース改編、英語入試や自己推薦などの選抜方法の多様化などの影響で受験者数を増やした学校もあれば、さほど影響が出なかった学校もあり、長い目で見ていく必要があるようだ。
また、「合格実績などにこだわった進学校や、有名大学の附属校など、明確な進路保証をして生徒募集をする従来型の募集方法はもちろん、『英語教育』、『21世紀型教育』などに代表される『特色教育期待グループ』に属する私学も増えている。中学入試を支える学習塾についても、中学受験対策だけではなく、英会話、スポーツクラブ、プログラミングなどのコンテンツをどう中学受験に結びつけるかが重要」(藤川氏)と言う。
いずれにせよ、次代のニーズと学校の個性や理念をうまく共存させ、学校改革をいかに進めていく必要性が、今後は増していくだろう。次回、18年度の入試要項を総覧する関西圏・中学入試情報セミナーは9月21日に開催予定だ。