1月17日に、平成27・28年度大田区教育委員会教育研究推進校、大田区ICT活用推進モデル校である大田区立蒲田中学校(東京都大田区)が、研究発表会を開催した。各地から集まった学校などの関係者が、全国から300人以上の人が集まった。
蒲田中学校は、以前からICTの活用を推進してきたわけではない。しかし、27年度にモデル校に指定されてから「誰もが無理なく使えるICTの活用〜いつでも簡単に使えるICT環境が、わかる授業を実現する〜」を研究主題とし、ICT活用の研究、実践、情報発信に全教員で取り組み始めた。
翌年度には、校長直轄の組織「ICT活用推進委員会」を設置。委員長に情報教育担当をあて、各学年に「ICT推進リーダー」を置く。28年度には、推進委員会の名称を「KIT(Kamata Information Team)」に変更し、さらに3つの分科会に分けて、学校が一丸となって研究・実践を重ねた。
研究発表では、ICTの活用は生徒の理解度、学習意欲の向上、授業改善に繋がっていると報告があった。今後の課題として、「デジタルとアナログのメリットの見極め」「定期的にアンケートを実施し、生徒からの要望と改善点を実行に移す」「情報モラル教育への取り組み」が挙げられた。
この日は、記念講演として同校の年間指導講師を務めた、墨田区教育委員会庶務課教育情報担当の渡部昭氏が登壇。同校の取り組みを総括し、その上でICTを推進するためには、「どのような人をリーダーにするのかはとても大きい」と語った。
最後に、和田文宏校長が「推進校の役割を終えますが、これからも大田区のICT活用推進モデル校として、大田区の教育を変える努力して参ります」と意気込みを語り、研究発表会は終了した。
当日は、全クラスのICTを活用した授業も公開された。例えば、1年生の理科の授業では、「物質の姿と状態変化」「光の世界」について既習した内容をもとに、タブレットを用いてブレゼンテーションするペア学習を行っていた。教員と生徒の一方通行の授業ではなく、生徒同士で学び合う授業が展開されていた。
また、1年生の体育(剣道)の授業でも、ICTが活用されていた。面打ちと胴打ちの見本動画を見てポイントを確認するだけでなく、タブレットのカメラ機能を用いて生徒同士で撮影し合い、改善点をお互いに見つけ合い、自分のフォームを客観的に見るために役立てていた。
このように、いわゆる5教科の授業だけでなく、様々な授業でICTを活用した授業が展開された。特に協働学習、アクティブ・ラーニングとも高い親和性を見ることができ、公教育の現場で、今後ICTの活用が進んでいくことを予感させる研究発表内容となった。