熊本県益城町の広安西小学校で8月11日、「ロボットプログラミング体験会」が開催された。対象者は小学4年生から6年生。熊本地震の発生から4ヶ月近く経った時点でも益城町には倒壊した家屋が目立ち、同校内の避難所で生活する被災者もいる中、保護者を含め26名の参加者が参加した。
実施したのは熊本県内で明光義塾を運営するサクセスリンク株式会社(熊本県玉名市)と九州・山口・沖縄で明光義塾を展開する株式会社明光ネットワーク九州(福岡県福岡市)、全国でロボットプログラミング教室「アーテックエジソンアカデミー」を展開する株式会社アーテック(大阪府八尾市)。熊本地震発生後、サクセスリンクは広安西小の生徒たちの勉強をサポートするため、1学期の終わりまで放課後に無償で学習支援教室を開いていた。その支援の一環として実施された今回の体験会。カリキュラムはこの日のためにアーテックが特別に用意したものだ。
まずは車型のロボットを作る。参加者たちはブロックや基盤、モーターなどの部品からロボットを組み立てていく。ブロック遊びの要領で、率先して手を動かす子供たちの表情は真剣そのものだ。
ロボットの動作をプログラミングするソフトは、MITメディアラボが開発した「Scratch(スクラッチ)」がベースのオリジナルソフト。複雑なコードを覚える必要がなく、パソコンの画面上で命令のブロックをドラッグ・アンド・ドロップするだけで簡単に扱える。講師も保護者もアドバイスするだけで、子供たちはすぐに操作に慣れ、画面上でブロックを組み立てるようにプログラムを組んでいく。最初の課題はロボットを真っすぐ走らせる簡単なものだったが、後半は自動で三角形や四角形の軌道を描いて走らせるなど初めてとは思えない複雑なプログラムを完成させていた。
参加した小学6年生の飯干瑠音さんは「パソコンを使って命令を出して、本当にロボットが動くところが楽しかった」と話す。また、4年生の坂口将義さんの父親、浩一郎さんは「子供は試行錯誤しながら考え、結果を確かめていた。勉強や仕事でも必要な考え方を学べた」と喜んだ。
同校の井手文雄校長は「参加した子は少なからずプログラミングに興味があるはずです。熊本が大変な状況だからこそ、夢や進路に繋げてほしい」と語った。2020年から小学校で必修化される見込みのプログラミング教育。それに先駆け被災地で実施された体験会が、子供たちの新たな可能性を開花させるきっかけになったと期待したい。