「体験」と「学び」で仕事への向き合い方を考えよう

キッザニアが、施設貸切による企業研修プログラムの提供をスタート

施設貸切型研修がおこなわれたキッザニア甲子園

施設貸切型研修がおこなわれたキッザニア甲子園

実在する企業が立ち並ぶリアルな街を子供に合わせた約3分の2というサイズで構成することで、仕事を選び、独自通貨による買い物や習い事などをして遊びながら社会の仕組みを学ぶことができる職業・社会体験施設「キッザニア」を展開するKCJ GROUP株式会社。同社がこのたび施設貸切型の企業研修プログラムの提供をスタートし、第一号となる研修が6月1日、兵庫県西宮市の「キッザニア甲子園」で行われた。

研修を受けたのは京都に本拠を置き、小・中学生を対象とした進学塾をはじめ、大学受験、英会話、日本語学校、保育事業といった幅広い総合教育サービスを手がける株式会社京進。参加した社員はほぼ全員にあたる約600名で、ランダムに編制されたチームに分かれ、子供の目線で職業体験を楽しみながら、キッザニアが掲げる企業哲学を学んだ。

子供の気持ちを引き出すためのフィロソフィーを学ぶ

研修内容は、まず大まかに200名ずつの3グループに分かれ、1グループが座学を行う間、残り2グループは約60あるパビリオンで約90種類用意されているアクティビティを体験した。

座学ではキッザニアが掲げるコンセプトである、エデュケーション(教育)とエンターテインメント(娯楽)を兼ね備えた「エデュテインメント」の考え方についてのプレゼンテーションから始まった。

座学では、一度に200名がキッザニアのフィロソフィーに関する説明に耳を傾けた

座学では、一度に200名がキッザニアのフィロソフィーに関する説明に耳を傾けた

次に、子供たちと触れ合うにあたって重要となる「子供への伝え方」「子供の言葉の引き出し方」「子供の褒め方」について実例を挙げながら説明がなされた。一例としては「なぜできないの?」というネガティブな言い方をせず、「どうしたらできると思いますか?」と言い換えることで真意をポジティブに伝えるといったことだ。研修を受ける社員たちは、普段接する子供たちのことを思い浮かべつつ、明るい表情でその説明に熱心に耳を傾けていた。

これらの研修内容についてKCJ GROUP株式会社キッザニア事業本部営業部長の関口陽介氏は、「当社がこれまで培ってきたお子さまへの向き合い方、ホスピタリティの基本などを伝える教育研修は、かねてより様々な企業さまよりご好評をいただいていました。

話のひとつひとつに頷き、また一緒に考えながら座学が進行してゆく

話のひとつひとつに頷き、また一緒に考えながら座学が進行してゆく

特に講演会などで、キッザニアのマーケティングや広報体制、ホスピタリティなどの説明すると、ぜひ、研修プログラムを構成して、社員を受け入れてほしいといった声が多く寄せられてきました。そこでいっそのこと体制を整えようということで、新たに施設まるごと貸し切る形での研修をスタートさせることにしました」と語る。施設の貸切そのものは、キッザニアにパビリオンを提供しているスポンサー企業の福利厚生や、キャンペーンとして行ってきた実績があるため、日常の運営と齟齬をきたすことなくスムーズに実施することができる。

また同社では、キッザニア体験が子供たちの内発的動機づけの促進や職業観の変化にどう影響するかについて、立教大学心理学部との共同研究を通じて客観的な数値による実証を行ってきた。また小・中学校向けのキャリア教育実践プログラムの実施、世界15ヶ国に展開する海外のキッザニアと連携した交換留学プログラムの実施、大学生インターン受け入れによる学生の社会人基礎力やコミュニケーション能力の向上など、さまざまな形で教育コンテンツを充実させてきている。それらの成果が研修プログラムのバックボーンになっていると言える。

「今回は京進から約600名の参加をいただきましたが、少人数で複数の企業による共同開催も可能。人数や規模については柔軟に対応したい」という。

「仕事」への新たな視点を得て、見つける未来の可能性

一方、キッザニアでの研修を決めた京進は、これまでも全社員を対象とした研修を毎年行ってきたという。過去には有名旅館の仲居さんに学ぶ機会を設けたり、勤続年数に応じた海外研修なども行ってきた。そうした中で今回、キッザニアにとっても初めてとなる施設貸切型の研修を選択した理由について、京進の樽井みどり取締役総務本部長は「キッザニアは、子供たち自身が自分の未来の可能性を見つけることを助けてくれる場所。

施設内には実際の飛行機の機体を使用したパビリオンもあった

施設内には実際の飛行機の機体を使用したパビリオンもあった

私たちも普段子供たちと接し、どんな接し方や語り方をすればやる気を引き出せるか、自身の未来について真剣に考えてもらえるのかを日々模索しています。社員の皆さんには、まずは童心にかえって子供たちの気持ちを想像してほしい。そして子供たちの可能性を引き出す力を手に入れる触発になってくれたら」と語る。

 

テレビ局パビリオンでは、外のインタビューの様子を生中継し ながら番組が進行していた

テレビ局パビリオンでは、外のインタビューの様子を生中継しながら番組が進行していた

キッザニアでの研修に参加した小中教務部の遠藤美沙さんは、テレビ大阪がスポンサーとなっているパビリオンで、番組を製作して疑似放送するアクティビティを体験した。

「これまで観ているだけだったテレビが、裏ではこんな風に製作されていたのかと勉強になりました。いろんなものが、自分の知らない人によって作られているんだという感覚を得られたのが良かったと思います」と語っていた。仕事に対する姿勢などについても、「これまで自分のやっていることしか知らなかったので、ものの見方が変わりそう」と大いに刺激になったようだった。

キッザニアでの教育研修に関する問い合わせは、KCJ GROUP・事業本部(TEL.03・3532・1321)まで。

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