子どもたちの未来へ、大人も意識改革を

NPO愛進研、第2回となる「2015教育セミナー」を開催

スーパーグローバルハイスクール・大学の認定、国際バカロレア認定校の拡大、英語における「話す」と「聞く」の重要性が上がるなど、文部科学省は2020年に予定されている東京オリンピックを契機とした、教育のグローバル化に向けた環境づくりを推進している。

ディレクターを務めた敬愛塾の伊藤清博塾長

ディレクターを務めた敬愛塾の伊藤清博塾長

それらの教育改革が意図するものは、これまで日本が強みとしてきた基礎知識のインプットによる平均値の底上げに加え、答えがひとつではない問題に対応できるアウトプットを生み出す力と、他者を惹きつけるリーダーシップを育成することにあるのではないだろうか。

英語によるコミュニケーションの大切さを

愛知県の民間教育機関の教師たちによるNPO団体、愛知県進学研究会(以下、愛進研)は、子どもたちの進学や就職を考えた研究を行っている。

「2020年の教育再生改革に向け、官民挙げてグローバル社会に目を向けた動きが急速に高まっている。30年後、子どもたちが社会の中心に位置する頃に求められる人材とはどのようなものなのか。過去、現在、そして未来を見通し、親子で未来を考える時間にしてほしい」という思いから「GO FOR 2020」と銘打ったセミナーが4月19日に開催された。

名古屋中学校・高等学校の森田祐二教頭先生

名古屋中学校・高等学校の森田祐二教頭先生

昨年に引き続き会場となった名古屋中学校・高等学校のチャペルは、約300名の親子連れが詰めかけた。名古屋中学の森田祐二教頭先生による挨拶では、名大の留学生と中学生がICT機器を活用してコミュニケーションを取ったり、また英語でプレゼンテーションを行う映像が紹介され、来場客はその様子を熱心に見ていた。

求められるのはグローバルリーダー

続く第一部は、様々なメディアで活躍するIGSの福原正大代表による基調講演「ミライノシゴト」。

IGSの福原正大代表

IGSの福原正大代表

「中国から飛来する環境汚染物質で、九州の小学校がグラウンド使用を制限される。しかし中国の人にそれを問うと、『環境より貧困問題の解決が先だ。日本も昔はそうだった』」と返された。他にも様々な例を挙げながら、国単独では解決できない問題が増えていると解説した。

また日本は少子化により、経済の急速な後退を避けられない。これまでは英語ができなくても、海外が日本に興味を持ってくれた。しかしこれからは、日本人がどんどん自分をアピールしなければならないという。

「欧米が今考えているのは、人工知能が人間の能力を超えた後を見すえた教育。今あるホワイトカラーは、将来その6〜7割がロボットに奪われます。日本がこれまで得意とした中等教育は、まさにその部分に該当する」と危機感を訴えた。そうした中で生き残るのは、英語によるコミュニケーション力と、新たな問題への思考力を備えた人。また「人間がロボットに勝てるのは『他者に尊敬される』ということ。尊敬されるグローバルリーダーを愛知が生んでほしい」と話し、会場は大きな賛同の拍手が響いた。

考える力で開ける未来

後半は愛進犬が登場し会場を沸かせた

後半は愛進犬が登場し会場を沸かせた

第二部では愛進研のキャラクター「愛進犬」によるクイズが行われた。出題は実際に企業の入社試験で使われたもの。「日本全国に美容院は何軒あるか」など、いずれも知識より思考力を問うもので、愛進犬による軽妙な語りが会場を笑いに包んだ。

鹿島塾の鹿嶌將博代表

鹿島塾の鹿嶌將博代表

最後は、愛進研会長の鹿島將博氏(鹿島塾代表取締役社長)が「これからは学校で習うことだけでなく、自分なりに考えて答えを出す力が求められます。子どもたちのために保護者の皆さまと二人三脚で頑張っていきたい」と結んでセミナーを終了した。

みんなが私塾界!