2015年の首都圏中学入試を総括するため、私立中高や学習塾をはじめ教育関連企業など約250名が参加する「第54回 火曜倶楽部セミナー」(幹事=後藤卓也氏(啓明舎)、富永光太郎氏(リヴィジョン)、小嶋隆氏(日能研関東)が、3月11日、東京ドームホテル(東京・水道橋)で開催された。
第1部では、「2015年中学入試総括」と題し、後藤卓也氏(啓明舎・塾長)による司会進行のもと、広野雅明氏(サピックス小学部教育事業本部本部長)、北一成氏(首都圏中学模試センター取締役教務情報部長)、市川理香氏(日能研関東中学情報部マネージャー)、岩崎隆義氏(四谷大塚情報本部本部長代行)の4名が登壇し、2015年の中学入試についての総括、分析結果が報告された。
2015年の中学入試の受験者数は、微増、微減、横ばいと意見が別れる結果に。その一方で、今回の中学入試は、サンデーショックの年だったが、これまでのサンデーショックの年と比べると「実際はあまり影響がなかった」というのが総意だった。
その中で特に印象深かったのは、「学校選びの『多様化』が進んでいる」という意見が、全員の口から聞かれたことだ。つまり、伝統や偏差値ではない評価軸で、学校を選ぶ保護者や子どもたちが増えているというのだ。特に、今回受験した子どもたちは、2020年の入試改革の年に大学を受験することになるため、それに向けて学校がどのように取り組んでいこうとしているのかが一つの鍵を握っていたようだ。例えば、充実した英語教育やアクティブラーニングの導入など、先進的な取り組みをおこない、それをうまくアピールできた学校には志望者が増加したという意見が多く出た。
さらに、学校説明会のときに在校生から学校の雰囲気が伝えられていた学校や、合格証書を子どもたち一人ひとりに、校長がメッセージを添えて手渡すといった、学校の本質的なところを見る保護者や子どもが増えたという意見も聞かれた。
「今回の入試は、数年ぶりの転換点になるのではないか」と北氏が語るように、中学入試が新たなステージに入ったことをうかがわせ、学校関係者にとっても、示唆に富んだ実のあるセミナーとなった。