igsZの設立記念セミナーが3月1日、東京国際フォーラムで開催された。同社は、通信教育をはじめ、多岐にわたる形で教育事業を展開するZ会と、海外大学進学・グローバルリーダー教育で実績のあるigsがタッグを組み、2015年1月にスタートしたスクールだ。
セミナーの第一部では、開成学園の柳沢幸雄校長とigsZの福原正大学院長が「小中高生から目指す、世界を変えるリーダーとは?」と題した対談がおこなわれた。柳沢氏は、現代の日本を、「恵まれていた時代から、それが終わりかけている時代だと思っています。今の小中学校生にとっては、これからもっと難しい時代になる」と会場に集まった中高生と保護者に語りかけた。今の日本の生活水準は世界トップクラスだが、それに比べて満足度はかなり低く、閉塞感が漂っている。そのような状況の中で、「子どもたちには、自己決定力を身につけてもらいたい。こういう人生を送りたいと考え、選べるための自己決定力を培っていかなければならない」と続いた。
第二部では、「グローバルリーダーに必要な7つの力の磨き方」と題した同社の取り組みについて、シニアコンサルタントの後藤道代氏から紹介された。
同社の授業は原則すべて英語でおこなわれ、講師は全員が世界のトップ大学出身者。そして、7つの力である「教養基礎」、「問題設定力」、「創造力」、「クリティカルシンキング」、「コミュニケーション」、「実行力」、「自らへの理解と自信」を養うための多様なプログラムが紹介された。
第三部では、参加した中高生たちが2人1組になり、普段igsZでおこなわれているディスカッションの体験授業が行われた。内容は、福原学院長からレクチャーを受け、「若者に多大な人気を誇るDJ」と「文化祭実行委員長の学生」の役に分かれ、自分が演じる側のパーソナルデータだけを事前にインプットした上で、出演交渉を疑似体験するもの。
「相手の情報をうまく引き出し、自分たちの利益に繋がる交渉をしなくてはならない」と福原学院長が言うように、単純にWINWINの関係にしない「交渉術」についてレクチャーした。今回は日本語での体験授業が行われたが、実際の授業では、高校3年生までにすべて英語で行えるようにすることを目指すという。
今後、大学入試改革が進み、語学力だけでなく思考力や哲学を身につけた人材を大学側が求めるようになれば、igsZのように多様な能力を引き出す塾への要請はさらに高まるものと見られる。