公益社団法人 全国学習塾協会主催による特別セミナー「『学習塾講師検定』における国家検定を目指す意義について」が6月8日(日) 、東京・アルカディア市ヶ谷にておこなわれた。
セミナーに先立ち同協会会長の安藤大作氏が挨拶。続いて同専務理事を務める稲葉秀雄氏が「新人講師を育成する際、多くの塾ではベテラン講師の授業を見学させるに留まっており、4割の塾経営者はその育成方法を変えたい、と感じているとのアンケート結果が出た。今後は講師育成という、見えない技術をいかに見える化するかが課題」と既存の学習塾講師検定から国家検定を目指す理由について述べた。
次に同協会よりニーズ調査を委託されている三菱東京UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の田口壮輔氏が、今回の学習塾講師検定の国家検定化は厚労省が本年度よりスタートさせた「業界検定スタートアップ支援事業」によるものだと説明。
医師や弁護士などには国家資格、製造業には技能検定などが設けられているが、対人サービス業を中心とする職種には評価制度が整備されていないこと、さらに人口減少による人材不足を解消すべく各個人の能力を最大限活用するために開始されたという。公募には様々な団体が企画書を提出したが、学習塾業界のほか「健康産業」「流通業」「派遣・請負業」の4団体が採択されている。
ポイントは国主導で検定内容を策定するのではなく、時代の変化に柔軟に対応できるよう、その業界の自主性を重んじていること。国は補助金の提供と権威づけ、一定のチェックをおこなうのみだという。
今後2年間で国と各団体で協議を重ね、国家検定として認定するかどうかが決まるが、そのための具体的な指針は決まっていないとのこと。田口氏は「今後、様々な塾にヒアリング調査をおこなっていくため、忌憚のない意見をもらいたい」と呼びかけた。