月刊私塾界2026年10月号(通巻546号)...

巻頭言 大日本印刷が「創業100年以上、かつ売上高100億円以上」の企業約2000社の調査を実施した。調査の主眼は、「長寿であるだけでなく、成長し続ける、イノベーションを起こし続ける企業(以下、100年企業)に共通する要素を洗い出すこと」にあった。 結果をいくつか見る。 「100年企...

私塾界リーダーズフォーラム 2026 A/W...

 10月2日(金)に御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターにて、「私塾界リーダーズフォーラム2026 Autum / Winter Team It」を開催いたします。 季節講習や新年度の募集を時代のニーズに合わせたスタイルにするための方法を、皆さまとともに考えてまいります。 今回のフォー...

月刊私塾界2026年9月号(通巻545号)...

巻頭言  創業時の経営者は謙虚さを持ち、努力家でもある。従業員の雇用を守っていかなければならないという使命と責任感で、自分自身が先頭を走り、会社を一生懸命に盛り立ててきた。その結果、会社は立派になり、利益が上がる。 ここまでは誰もが到達する地点である。 しかし、ここから大きく二手に分...

月刊私塾界2026年8月号(通巻544号)...

巻頭言  経営者の決定力は、組織の強さに直結する。 経営という営みは、意思決定と執行の2つのプロセスで成り立っている。「執行」は社員などにも委ねられるが、「意思決定」は経営者自身が下さなければならない。 ある企業で、協調性に欠ける社員への対応が、長く棚上げになっていた。経営者は「本人...

月刊私塾界最新号

月刊私塾界2026年10月号(通巻546号)

巻頭言 大日本印刷が「創業100年以上、かつ売上高100億円以上」の企業約2000社の調査を実施した。調査の主眼は、「長寿であるだけでなく、成長し続ける、イノベーションを起こし続ける企業(以下、100年企業)に共通する要素を洗い出すこと」にあった。 結果をいくつか...

塾ニュース|塾・企業

大阪公立大学の障害が示した「再委託先」のリスク 学習塾が外部サービス契約で確認すべきこと

 大阪公立大学で2026年10月2日から発生した大規模システム障害は、大学がシステム運用を委託するNECではなく、NECが開発・保守業務を委託していた企業へのサイバー攻撃が発端だった。大学から見れば...

塾ニュース|教育ICT

Libryと大修館書店が業務提携 情報Ⅰ・探究教材を2027年からデジタル提供

 株式会社Libry(東京・千代田区、後藤匠代表取締役CEO)は10月19日、株式会社大修館書店(東京・文京区、鈴木一行代表取締役社長)と業務提携契約を締結したと発表した。大修館書店が発行する高校情報科の教科書・教材と探究学習教材を、デジタル教科書・教材プラットフォーム「Lib...

塾ニュース|地域教育

都立高校の全日制募集人員、令和9年度は1045人減 通信制は前期選抜枠を拡大

 東京都教育委員会は10月8日、令和9年度東京都立高等学校等の第一学年募集人員を公表した。全日制課程は167校、1011学級、募集人員3万9195人となり、前年度から18学級、1045人減少する。都内公立中学校の卒業予定者数や学校施設の状況を踏まえ、三田、八潮、石神井、羽村など...

塾ニュース|受験

都立高校入試、内申点を使わない「10:0」判定を北園・武蔵野北で併用 2027年度は計3校

 東京都教育委員会は9月17日、2027年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目と、入学者選抜検討委員会の報告書を公表した。学力検査の得点と調査書点の比率について、「7:3」と「10:0」の両方で算出し、高い方を選考に用いる方式を、新たに北園高校と武蔵野北高校の全日制課程...

文科省、大学情報を比較できる新プラットフォームを検討 学修成果や進路情報を一元化

 文部科学省は10月21日、中央教育審議会大学分科会の質向上・質保証システム部会を開き、大学の教育情報を横断的に比較できる新たなデータプラットフォームについて、公表項目や情報の示し方を検討した。会合では、ベネッセi-キャリアとリクルートが、大学選択時の情報源や民間サービスにおける情報提供の現状を報告した。

 文科省が検討しているプラットフォームは、大学改革支援・学位授与機構に設置し、情報公表機能として「Univ-map(仮称)」を実装する構想だ。大学や学部の基本情報に加え、新たな大学評価制度の評価結果、全国学生調査から選んだ学修成果、入学者選抜、卒業後の進路、取得可能な資格、経済的支援などの情報を学部単位で掲載する方向で検討している。

 評価結果以外のデータは毎年度更新し、大学間の比較・分析機能や各大学の詳細ページへのリンク、外部システムがデータを利用するためのAPIも設ける方針。ただし、学生調査のどの項目を載せるか、大学間で比較可能な基準をどう整えるか、情報の信頼性を誰が担保するかなどは引き続き検討課題となる。

 高校生の大学選択で利用できる公的情報が整えば、学習塾や予備校の進路指導にも影響する。偏差値や入試科目だけでなく、学修成果や卒業後の進路を含めて大学を比較する環境が整う可能性があり、最終的な掲載項目と運用開始時期が注目される。

PHPの重大脆弱性で教育サービス停止相次ぐ learningBOXは対策後に再開

 ウェブシステムで広く使われるプログラミング言語「PHP」に重大な脆弱性が見つかり、10月21日夜から22日にかけて、教育サービスや大学、官公庁がシステムを一時停止する対応が相次いだ。

 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は22日、「CVE-2026-109618」と「CVE-2026-109619」の2件について注意喚起を公表した。脆弱性を組み合わせた攻撃は「PHP2Shell」と呼ばれ、悪用された場合、遠隔の第三者に任意のコードを実行される可能性がある。PHP8・2から8・5までの各系列で修正版が公開され、IPAは最新版への更新を求めている。

 eラーニングシステムを提供するlearningBOX株式会社(兵庫県たつの市)は、21日20時から全サービスを予防的に停止した。修正プログラムの適用と動作確認を行い、22日9時にサービスを再開した。同社によると、不正アクセスや情報漏えいは確認されておらず、学習履歴や採点済みデータは保持されている。一方、停止中に実施されていた試験は、状況によって再受験が必要になるとしている。

 文部科学省や複数の大学もウェブサイト、LMSなどの一部を停止した。エデュケーショナルネットワークも予防的なメンテナンスを実施した。一方、デジタル・ナレッジは主要製品でPHPを使用しておらず、今回の脆弱性による影響はないと発表した。

 今回の事案は、同じ脆弱性でもシステム構成によって影響が異なることを示した。学習塾にとっても、LMS、申込、決済、保護者連絡などの利用サービスについて、障害時の連絡経路、授業や試験の代替方法、学習データの保存方法を平時から確認しておく必要がある。

社会人が大学院1年で教員免許取得へ 文科省が新教育課程案

 文部科学省は10月22日、専門性を持つ社会人が大学院で約1年間学び、教員免許状を取得できる新たな教育課程案を中央教育審議会の教員養成部会に示した。学校現場での勤務と大学院での学修を組み合わせ、民間人材の教職参入を広げる。

 対象として想定するのは、大学の教職課程を履修していないものの、学士号を取得し、社会人経験を通じて強い専門性を身に付けた人である。大学と都道府県教育委員会、学校が連携し、目指す免許状の種類を踏まえて受講者を選ぶ。

 中学校免許を想定した履修モデルでは、大学院で36単位以上を修得する。4~5月に教育の基本的理解や教科指導、生徒理解などを学び、6~7月と9~12月には学校現場で実践的な演習を行う。8月には受講者自身の研究や関心に応じた学修を組み込む。現場での勤務は学習支援員や臨時免許状による助教諭などを想定し、大学が指導と評価を担う。

 現場実習を勤務として扱い、報酬を支給できる制度設計も検討する。履修証明プログラムとして開設し、厚生労働大臣が指定する教育訓練給付金の対象とするなど、受講料負担を軽減する仕組みも論点となる。免許取得後は、年度途中から講師として勤務し、翌年度の採用につなげるモデルが示された。

 新課程で取得できる免許状は、地域限定ではなく全国で通用するものとする方向だ。ただし、制度化や開設時期は確定しておらず、文科省は指定大学で先行事例をつくった上で展開する考えを示している。

 教育企業や学習塾で教科指導、教材開発、ICT、キャリア教育などに携わった人材にとって、新たな教職参入ルートとなる可能性がある。一方、民間教育事業者にとっては経験者の採用・定着を巡る競争が強まることも考えられる。

大阪公立大学の障害が示した「再委託先」のリスク 学習塾が外部サービス契約で確認すべきこと

 大阪公立大学で2026年10月2日から発生した大規模システム障害は、大学がシステム運用を委託するNECではなく、NECが開発・保守業務を委託していた企業へのサイバー攻撃が発端だった。大学から見れば「再委託先」に当たる企業を経由して、大学のシステム環境に不正アクセスされた形である。

学習塾でも、校務システムや保護者連絡、授業料決済、学習管理などで外部サービスの利用が拡大している。今回の事案は、契約先企業だけでなく、その先で業務を担う再委託先まで含めて情報管理体制を確認する必要性を示している。

正規アカウントを使って大学のシステムへ侵入

 NECによると、9月下旬、システムの開発・保守を委託している企業がサイバー攻撃を受け、正規アカウントの認証情報が窃取された。攻撃者は、その認証情報と委託先企業の端末を利用し、複数の顧客システム環境へ不正アクセスした。

 侵入先では、サーバー内のファイルが暗号化され、システムが利用できない状態になった。また、顧客、NEC、委託先企業の間で情報共有に使用していたクラウドストレージから、顧客の個人情報やシステム関連情報が流出したことも確認された。NECは、流出した個人情報の内容について、詳細が判明次第、対象者に報告するとしている。

 大阪公立大学では10月2日午前0時30分ごろから、全キャンパスでネットワークや学内システムが利用できなくなった。公式ウェブサイトも一時閲覧できなくなり、履修登録の修正期限や抽選科目の追加選考、奨学金などの手続きにも影響が及んだ。

 電子メールは10月13日から順次再開されたが、旧学生用アドレスやメーリングリスト、共有アドレスなど、一部のサービスは停止が続いた。

 大学側は、NECが管理するクラウドストレージから大学関係の個人情報とシステム関連情報が流出したと発表している。別の仮想環境には、教務システム関連のデータ約13万件が保存されていたが、同環境から外部への持ち出しがあったかは調査中である。

「大手企業との契約」だけでは安全を担保できない

 再委託は、専門的な開発や保守を分担する一般的な事業形態であり、それ自体が問題なのではない。課題は、委託関係が多層化するほど、「誰が、どの情報に、どの権限でアクセスできるか」を発注者が把握しにくくなることにある。

 今回の攻撃では、認証情報を盗まれた正規アカウントが使われた。正規アカウントを用いた操作は、システム上では通常の保守作業に見える可能性がある。このため、IDとパスワードによる認証だけでなく、多要素認証、アクセス元端末の制限、必要最小限の権限設定、操作記録の保存と監視が重要になる。

 特に注意すべきなのは、サービス提供会社の内部だけでなく、保守会社や開発会社にも本番環境へ接続できるアカウントが付与される場合である。契約先の社名や企業規模だけで安全性を判断するのではなく、実際にシステムへ接続する企業と担当者まで把握する必要がある。

 ただし、現時点の公表資料だけでは、大阪公立大学、NEC、委託先企業のどの管理措置に不足があったか、あるいは契約上の責任がどこにあるかを断定することはできない。今後、侵入経路や権限設定、被害範囲、再発防止策についての続報を確認する必要がある。

委託しても個人情報の管理責任はなくならない

 個人情報保護委員会のガイドラインは、個人データの取り扱いを委託する場合、委託元が委託先に対して必要かつ適切な監督を行わなければならないと示している。委託先が再委託する場合についても、最初の委託元には、再委託先に対する間接的な監督が求められる。

 つまり、学習塾が生徒情報の管理を外部サービスに任せても、「サービス会社に預けたので、自塾には責任がない」とはならない。再委託の有無や管理方法を確認し、必要な安全管理措置が継続されているかを把握する必要がある。

 文部科学省の教育情報セキュリティーに関する手引きでも、外部委託時の契約には、再委託の制限、情報資産の返還・廃棄、事故発生時の対応などを盛り込む考え方が示されている。同資料は主に教育委員会や学校を対象とするものだが、児童生徒の情報を扱う民間教育事業者にも参考になる。

学習塾が確認しておきたい5項目

今回の事案を踏まえ、学習塾が外部サービスについて確認すべき事項は、次の5点に整理できる。

1.再委託先の把握
開発、運用、保守、問い合わせ対応などを別会社に再委託しているか。再委託に事前承認や通知の手続きがあるか。

2.アクセス権限の管理
外部事業者のアカウントが共用になっていないか。多要素認証、端末制限、接続時間の制限、操作記録の保存が行われているか。退職者や契約終了者の権限が直ちに停止されるか。

3.事故発生時の連絡条件
情報漏えいやシステム停止が起きた際、何時間以内に、誰から、どの連絡先へ報告される契約になっているか。再委託先で起きた事故も報告対象に含まれるか。

4.データの保存・返還・削除
生徒氏名、成績、志望校、保護者連絡先、授業料情報などが、どの国・地域のサーバーに保存されるか。契約終了後の返還方法と削除証明の有無も確認する。

5.停止を前提とした代替運用
保護者連絡、出欠確認、授業実施、請求、入退室管理が停止した場合の代替手段を用意しているか。復旧目標時間と、どの時点までデータを戻せるかを確認し、重要情報は別系統でも取り出せる状態にする。

 情報処理推進機構も、委託先との契約でセキュリティー要件や事故時の連絡先を明確にし、事業継続に必要な復旧目標時間、バックアップ、訓練などを定めることを求めている。

再委託先を含む「供給網」の管理へ

 学習塾のデジタル化は、限られた人員で教室を運営し、保護者との連絡や学習状況の把握を効率化する上で欠かせない。一方、複数のクラウドサービスを組み合わせるほど、障害や情報漏えいが授業運営全体へ連鎖する可能性も高まる。

 求められるのは、外部委託を避けることではなく、契約先の先にいる事業者まで含めた管理である。サービス導入時の機能や価格の比較だけでなく、再委託先、保守用アカウント、事故時の連絡、データの返還、業務継続までを確認する。大阪公立大学の事案は、教育機関にとって、サイバーセキュリティーが情報システム部門だけの問題ではなく、授業と教室運営を継続するための経営課題であることを改めて示した。

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次期学習指導要領、体育は小4まで「運動遊び」を重視 水泳授業や評価方法も見直しへ

 次期学習指導要領に向け、体育科・保健体育科を「技能を習得させる授業」から、全ての児童生徒が運動やスポーツの楽しさを味わい、生涯にわたって多様な形で関われる力を育てる授業へと再構成する方向が示されている。文部科学省の中央教育審議会が10月5日に公表した審議まとめと、体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループの取りまとめ案に盛り込まれた。

 見直しの柱となるのが、小学校から高校までの12年間を発達段階に応じて捉え直すことだ。小学校1~4年生を「各種の運動の基礎を培う時期」、小学校5年生~中学校2年生を「多くの領域の運動を経験し、スポーツの基礎に触れる時期」、中学校3年生以降を「卒業後も運動やスポーツに多様な楽しみ方で豊かに関われるようにする時期」と位置付ける。

小学校中学年にも「遊び」の要素

 現在、「運動遊び」を中心に構成しているのは主に小学校低学年だが、見直し案では対象を小学校4年生まで広げる。児童が夢中になって試行錯誤し、他者と関わりながら体を動かす機会を確保し、「やってみたい」という内発的な動機を引き出す考えである。

 ただし、自由に遊ばせる授業へ変更するものではない。教師が身に付けさせたい動きを設定し、場や用具、ルールを工夫した上で、遊びの要素を取り入れる。ワーキンググループは、動きの習得を軸としながら、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」を行き来する学習を想定している。

中学年の水泳は「水遊び」に再整理

 水泳領域も見直される。現行の小学校体育では、低学年が「水遊び」、中学年と高学年が「水泳運動」とされている。新たな系統性のイメージでは、小学校1~4年生を「水遊び」、5・6年生から「水泳運動」とする案が示された。

 これは中学年で泳法を扱わなくなる、あるいは水泳授業を廃止するという意味ではない。水に親しむ楽しさ、水中での多様な動き、もぐる・浮く・進むといった基礎を重視し、5年生以降の泳法学習へ滑らかにつなげる考えである。水難事故から身を守る力を育てることも、学校で水泳を学ぶ重要な意義として維持される。

 一方、学校プールの老朽化や維持費、猛暑による授業中止、教員の負担といった課題もある。スポーツ庁は2026年2月、水泳授業の機会を確保するため、教育効果、教員負担、財政面などを多角的に検討するよう教育委員会に通知した。社会体育施設や民間施設の利用、外部人材との連携は今後さらに重要になる可能性があるが、学校外への委託を一律に求めるものではない。

「体育理論」は「スポーツ理論」へ

 中学校・高校の「体育理論」は、「スポーツ理論」へ名称を改める方向である。スポーツを実際に行う「する」だけでなく、「みる」「支える」「知る」「集う」「つながる」といった多様な楽しみ方を学ぶ。科学的な知識、安全な実施方法に加え、スポーツを文化、経済、教育などの側面から考える内容を重視する。

 高校の専門学科「体育」についても、教科名を「スポーツ」に変更する案が示された。競技技能の向上だけでなく、スポーツイベントの企画・運営や指導、地域のスポーツ活動を支える人材の育成を強める。

「態度」の評価も再構成

 評価方法では、公正、協力、責任、参画、共生、安全など、これまで主に「学びに向かう力・人間性等」に位置付けられてきた要素を、「運動との関わり方」として知識・技能を中心に再整理する方向である。

 単に「協力しようとしているか」を評価するのではなく、なぜ協力や安全への配慮が必要なのかを理解し、実際の行動につなげられるかを指導・評価する。形式的になりやすい体育の態度評価を、より具体的にする狙いがある。将来的には中学校体育の評定にも関わる論点だが、具体的な評価基準は今後の検討事項である。

 これらは次期学習指導要領の検討段階の方向性であり、正式決定ではない。文科省のスケジュール案では、新学習指導要領の全面実施を小学校で2030年度、中学校で2031年度、高校では2032年度の入学生から順次始め、2034年度の全面実施を想定している。今後、答申や告示の過程で内容が変更される可能性がある。

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大阪公立大学のシステム障害、NEC再委託先へのサイバー攻撃が原因 大学関係の個人情報流出も判明

 大阪公立大学は10月21日、10月2日から続く大規模なシステム障害について、大学のシステム構築・運用を担う日本電気株式会社(NEC)の再委託先が受けたサイバー攻撃を起点とする不正アクセスだったと発表した。再委託先から窃取された正規アカウントが悪用されたという。

 NECによると、再委託先は9月下旬にサイバー攻撃を受け、サーバー内のファイルが暗号化されるなどの被害が発生した。調査の結果、正規アカウントを利用した不正アクセスが確認され、NECが使用するクラウドストレージに保存されていた複数の顧客に関するファイルが流出したことが分かった。

 流出したファイルには、大阪公立大学に関係する個人情報とシステム関連情報が含まれていた。対象となる個人情報の内容や件数については調査中で、大学は詳細が判明次第、公表するとしている。

 大学では別に、教育系システム関連のデータ約13万件が保存されていた仮想基盤が攻撃を受けた可能性も調べている。この仮想基盤からデータが外部へ持ち出されたかどうかは、10月21日時点で確認が続いている。電子メールなど一部サービスは再開したが、システム全体の復旧作業は継続中である。

 今回の事案は、教育機関の情報セキュリティーが、自組織と直接の契約先だけでは完結しないことを示した。学習塾でも、学習管理、保護者連絡、決済、入退室管理、オンライン授業などで外部のクラウドサービスを利用する場面が増えている。

 サービス選定や契約更新時には、再委託の有無、個人情報の保存場所、アクセス権限の管理、事故発生時の通知手順、代替運用の準備などを確認する必要がある。委託先を含む供給網全体の管理と、システム停止を前提にした事業継続計画が、教育事業者にとっても重要性を増している。

都立高校入試、内申点を使わない「10:0」判定を北園・武蔵野北で併用 2027年度は計3校

 東京都教育委員会は9月17日、2027年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目と、入学者選抜検討委員会の報告書を公表した。学力検査の得点と調査書点の比率について、「7:3」と「10:0」の両方で算出し、高い方を選考に用いる方式を、新たに北園高校と武蔵野北高校の全日制課程普通科で実施する。

 都立高校の全日制課程では、学力検査に基づく選抜における学力検査点と調査書点の比率を原則として「7:3」としている。新方式では、受検者ごとに従来の「7:3」で算出した得点と、調査書点を含めず学力検査点だけで算出する「10:0」の得点を比較し、受検者にとって高い方を合否判定に使用する。内申点を一律に不使用とする制度ではなく、従来方式と学力検査点のみの方式を併用する仕組みである。第二次募集を行う場合は、「6:4」と「10:0」で算出した得点を比較する。

 同方式は、困難を抱える生徒の多様なニーズに対応する「受入環境充実校」として改編された深沢高校で、2026年度入試から導入された。今回、北園高校と武蔵野北高校が加わることで、2027年度の実施校は計3校となる。

 入学者選抜検討委員会は、「7:3」と「10:0」を併用する方式について、受検者の多様なニーズに応えられる選抜方法の一つと評価した。今後も成果や課題を検証するとともに、受検者一人ひとりの可能性をより適切に評価する観点や地域バランスなどを踏まえ、他校への展開を検討する。

 このほか、国際高校の国際バカロレアコースでは、9月入学生徒の選抜を廃止し、4月入学生徒の選抜に一本化する。推薦に基づく選抜は2027年1月26、27日に実施し、2月2日に合格発表を行う。学力検査に基づく第一次募集は2月21日に実施し、合格発表は3月1日を予定している。

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神戸山手グローバル中高が教育シンポジウム開催 国際共同学習や生成AI活用の実践を報告

 神戸山手グローバル中学校・高等学校は、教育シンポジウム2026「学びを社会へ、世界へ――文部科学省をはじめとする実証事業を通して」を開催した。国際共同学習や生成AIの活用、教科横断型の教育実践を紹介するとともに、AI時代に求められる学びのあり方について議論した。

 冒頭、平井正朗校長が同校の取り組みを報告した。約600人が学ぶ同校には17カ国の生徒が在籍し、高校では海外ルーツの生徒が約36%を占める。平井校長は「英語を学ぶのではなくて、英語で学ぶ」と強調。英語を知識習得の目的ではなく、異なる背景を持つ仲間と協働し、正解が一つではない課題に取り組むための手段として位置づけていると説明した。

シンポジウムの様子

 文部科学省の「EDU-Portニッポン応援プロジェクト」では、昨年度のインド、フィリピンの学校との実践を発展させ、今年度はケニア、ガーナ、フィリピンの学校とオンラインで共同学習を推進。英語を用いて数学やプログラミング、eスポーツなどを通じて学び合う。校内でも外国人教員による英語での数学や理科の授業を、年間を通して展開している。

 また、3年目となる「DXハイスクール」事業ではプログラミング教育を推進。「読書活動推進事業」である「Global Reading Nexus Project -AI・多言語・国際協働による次世代読書活動モデルの構築-」は、AIによる要約文の添削や多言語の電子書籍、ビブリオバトルなどを取り入れている。さらに、同じメンバーで一年間、一つのテーマに取り組む「ラーニング・コミュニティ」を導入し、探究活動と大学の専門分野を結びつけた進路指導にも取り組んでいる。

 続くパネルディスカッションでは、生成AIの普及による英語教育の変化が議論された。翻訳技術が進歩する一方、AIが提示した表現から適切なものを選ぶには、言語能力や教養、基礎学力が不可欠との意見が出された。また、英語と数学などを組み合わせた授業について、文系・理系の枠を越えた学びを促し、生徒が自身の得意分野を発見する機会になるとの指摘もあった。

 平井校長は進路指導についても「大学は通過点に過ぎない」と述べ、「自分が一番得意としている分野を使って、これからのグローバル社会でどう活躍できるか」を考えることが重要だと説明。大学への合格を最終目標とするのではなく、生徒が自らの興味・関心を深め、それを将来の社会での活躍につなげられるよう、大学や企業、地域社会との連携を進めていく方針を示した。

生成AI研修のWEAVE、広島の学習塾「学び舎SORA」を完全子会社化

 株式会社WEAVE(広島市、久保直樹代表)は10月17日、学習塾「学び舎SORA」を運営する株式会社ラスタディオの全株式を取得し、完全子会社化した。久保氏がラスタディオの代表取締役に就任した。取得金額は公表していない。

 学び舎SORAは2004年に開校し、広島市西区で小学5年生から高校3年生を対象に指導している。1クラス10人程度の少人数制を特徴とする。買収後も既存の指導体制や教室の雰囲気を維持しながら、WEAVEが企業・自治体向け研修で蓄積した生成AI活用の知見を取り入れる。

 新たに中学生向けの「ippo!コース」を開始した。週2回、1回80分で2教科を指導し、月1回のAIワークショップとチャレンジ活動を組み合わせる。受講料は税込み月額2万5000円。学力に加え、AIを使う力や自ら行動する力の育成を掲げる。

 WEAVEは2022年設立で、生成AI研修や業務改善支援を展開してきた。今回の買収は、AI研修会社が既存の地域塾を事業基盤として教育事業へ参入する事例となる。地域塾の事業承継と、新たな教育サービスの開発を同時に進めるモデルとして、今後の運営実績が注目される。

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文科省、東大に次期総長選考の検証を要請 選考過程の説明求める

 文部科学省は10月20日、東京大学の次期総長選考を巡り、選考経緯を検証し、判断の合理性について説明責任を果たすよう大学側に要請した。関芳弘文部科学相が同日の閣議後記者会見で明らかにした。共同通信によると、文科省が大学の学長選考について検証を求めるのは初めてだという。

 東京大学総長選考・監察会議は9月28日、大学院総合文化研究科の藤垣裕子教授を次期総長予定者に選出した。任期は2027年4月1日から2033年3月31日までの6年間で、同大学初の女性総長となる。

 大学側は、候補者資料や推薦書、面接、動画による所信表明、学内構成員による意向投票の結果を総合的に考慮したと説明している。一方、意向投票で2位だった藤垣氏が選ばれたことから、学内の教職員らが詳しい選考経緯の説明を求めていた。

 関文科相は、選考過程や理由について明確な説明がなされていないとの声が多いことに遺憾の意を示し、総長選考・監察会議による自律的な検証を求めた。国立大学法人の長は、法人からの申し出に基づいて文部科学相が任命する。文科省はこれまで、明白な形式上の違法性や客観的に不適切と認められる場合などを除き、法人の申し出に基づいて任命するとの見解を示している。

 今回の要請は、大学の自主性を前提とする学長選考に、説明責任と透明性をどのように確保するかを改めて問うものとなる。東京大学側の検証方法と、文科省への総長任命の申し出に至る今後の対応が焦点となる。